しっくいって何?

しっくいのその正体を
知っていますか?
何から生まれて、
どうやってできるのか。
まずはしっくいの由来から。

What is SIKKUI ?

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しっくいワールドへ
ようこそ!

しっくいと聞いて何を思い浮かべますか?
「お城の白い壁?」「伝統的な古いイメージ」
そんな思いを持たれる方も多いかと思われます。

日本においてしっくいとは、
天然鉱物資源である石灰を主原料とし、
海藻などから作られる「糊(のり)」麻などの
繊維を刻んだ「スサ」を加えた
天然素材の建材を言い、
その歴史はおよそ1,500年とも言われています。
しかし、世界的に見てみるとこの
しっくいの技術は遥か5,000年ほど前から
世界中で使われている技術であり、
今なお世界中至る所で使われている
建材
なのです。

このホームページでは、
日本のしっくいのみならず、
世界のしっくいまでご紹介します。
しっくいは何から出来ているのか?
どのような性能があるのか?
しっくいを一番最初に使い始めたのは
どこなのか?
日本にはどのように伝わってきたのか?
そしてしっくいを塗ると、
どのような効果があるのか?
まさに「しっくいまるわかり大辞典」です。

なんで
しっくいっていうの?

石灰→漆喰
しっくいって石灰が語源だった

「しっくい」の名前の由来は、
じつは石灰(せっかい)から来ています。
しっくいの技術は日本では
およそ1,500年ほど前、 仏教が伝来した時代のさまざまな技術と共に大陸からやって来たと考えられています。
日本では「しっくい」を漢字で「漆喰」と書きますが、
これは「石灰」の唐読み(当時の中国・唐時代の読み方)がしっくいで、それに当字されたものと言われています。

ということで、
しっくいは石灰から
できていることが
わかりましたね。

石灰について

では、その石灰って
「いしばい」と書きますが、
どんなものなのでしょうか?

なんと!
石灰で生まれたのです。

石灰とは漢字で「いしばい」と書きますが、
どのようなものなのでしょうか?
石灰とはとてもユニークな素材で、石と書きますが、
由来は生物との関わりが非常に強いのです。
石灰岩は2億5千万年前のサンゴ虫類や
紡錘虫類などの
海棲生物の死骸が堆積したものが、
海中で長い時間をかけて
二酸化炭素を取り込み化石化
し、
地殻変動とともに海洋プレートによって
大地まで運ばれ
地上に隆起したものです。
したがって、
石灰の採れる場所は
昔すべて海
だったのです。

まさに石灰とは
太古の海からの
贈りものと言えるでしょう。

海洋プレートの動きで石灰が
堆積した山がこちらです。

こんな山から
しっくいができるの!?

真っ白な建材であるしっくいが
こんな山を原料にできるのでしょうか?
灰色の石灰石がどのようにして
白いしっくいに変わっていくのか
そのしくみを見てみましょう。

石灰石がしっくいになるまで

石灰が科学の力で
しっくいに

動画でご覧いただいたように、
石灰岩を砕いた石灰石を焼き、
水を加えるだけで、
あの灰色の石灰石が
白い粉(消石灰)になるのです。
しっくいの主原料である石灰は、
とても面白い仕組みで出来ているので
ご紹介しましょう。
三つの写真の上の写真から、
時計回りに解説していきます。

科学の授業を思い出してみてください。
石灰石は化学式ではCaCO3(炭酸カルシウム)です。
その石灰石を焼くこと(焼成)で化学反応を起こし、
CO2(二酸化炭素)が空気中に放出され、
同時にCaO(酸化カルシウム)が生成され、
これを生石灰といいます。
ここで焼き上がった生石灰は、
原石の半分くらいの重さになります。

焼く(焼成) CaCO3=CO2+CaO
その生石灰(CaO)に水(H2O)を加えます。
これを消化といいます。
すると化学反応を起こし
Ca(OH)2
(水酸化カルシウム)が出来上がります。
ここで出来上がるCa(OH)2(水酸化カルシウム)が
しっくいの主原料、消石灰なのです。

水を加える(消化) CaO+H2O=Ca(OH)2
→しっくいの主原料 消石灰

そして、出来上がった消石灰Ca(OH)2
水(H2O)を混ぜ合わせ壁に塗られることにより、
水を蒸発し硬化しながら空気中の
二酸化炭素(CO2)と化学反応を起こし、
元の石灰石(炭酸カルシウム)の性質に戻ります。

壁に塗られる Ca(OH)2+ CO2=H2O+CaCO3
→元の石灰石に戻る

石灰はこのような循環サイクルで
成り立っている素材なのです。

石灰はこのような循環サイクルで成り立っている素材なのです。

すなわち、
しっくいは壁に塗られ、
二酸化炭素を吸収しながら
元の石灰岩の性質に
戻っていくのです。

このようにしっくいとは、
自然界の仕組みを利用した、
すばらしい素材と言えます。

しっくいをさらに詳しく
1. 国内で唯一
100%自給可能な天然鉱物

日本には全国各地に石灰岩が分布しており、
200以上の石灰鉱山が稼働しています。
日本列島は石灰岩の宝庫とも言えます。
この資源の少ない日本の中で、
石灰は国内で唯一100%自給可能な
天然鉱物
です。
現在日本に存在している石灰岩は
炭酸カルシウム、
すなわち石灰岩の純度が高いという特徴があります。
石灰岩は世界中に広く分布している岩石ですが、
世界の石灰岩の多くは、大陸プレート上の
浅い海に
堆積したものが多く
陸からの土砂などの不純物が
多く混ざっているため、
一般的に日本の石灰岩と比較すると
石灰の純度が低いです。

2. 日本のしっくいの作り方は
独特なんです
焼成は塩焼きで。

日本における左官用消石灰は、
「塩焼き」と呼ばれる
伝統的な製法を用いて焼成します。
山はだに築かれたとっくり型の土中炉に
石灰石とコークスを投入し、
少量の塩を添加して行います。

工業用に用いられる石灰焼成は
数時間で焼き上げますが、
左官用消石灰を作るための塩焼きでは3日間ほど。
では、なぜこのようなことをするのでしょうか?
塩焼きにはどんな効果があるのでしょう?

  • 工業用の焼成

    粒子径:<1μm

    重油を使い、強制的に3~6時間で焼成

    肥料・土木資材向け

  • 塩焼きによる焼成

    粒子径:510μm

    コークスを使い、3日ほどかけ焼成

    左官しっくい向け

    塩を混合して焼成(塩焼き)

塩が不純物を取り除く役割をするので、
より白い石灰を作りだし、
同時に生石灰の結晶成長促進を促します。

塩焼きにより、
左官用消石灰は
粒子が大きくなり、
粒度分布も広くなるので、
左官壁にしたときに
強いしっくいになるのです。

この塩焼き焼成は
江戸時代から続いていると言われており、
まだ化学が発達していない時代に
このようなことを知っていた
昔の人の知恵には驚かされます。

3. 消化の仕方で
石灰が違うものになる!?

生石灰に水をかけると発熱し、
消石灰となるのが消化と言いましたが、
石灰の消化方法には2種類あり、
その消化方法の違いによって
できあがる消石灰の性質にも
違いがあるのです。

乾式消化湿式消化

右の映像にもあるように、
生石灰に水を加え消化すると、
100度近い反応熱を出しながら
消石灰となっていきます。

石灰の消化方法には2種類あり、
ひとつは生石灰に少量の水を加え、
粉末の消石灰を得る方法で
これを乾式消化といいます。
生石灰の重量に対して50〜60%程度
水を加えて消化します。
これにより、粉末の消石灰が作られます。

もうひとつは生石灰に
多量の水を加える方法、

これを湿式消化と言います。
生石灰の重量に対して2倍程度の水を
加えて消化することで、
最初からクリーム状の
消石灰
が出来上がります。

これは生石灰クリームと呼ばれます。
日本では乾式消化が、
ヨーロッパでは湿式消化が主流です。

乾式と湿式の違い

乾式湿式
出来上がったしっくいには
どんな違いが?

乾式消化、湿式消化いずれも生石灰の消化であるため、生成される最終形態は消石灰であることに違いはありませんが、結晶の形や性質が違う物が出来あがります。
乾式消化の結晶粒子は粒子間にごくわずかな隙間が出来るため、塗り壁材として使った場合は、多少ざらついた質感を持ちます。一方、生石灰クリームの結晶粒子は、熟成させることにより、隙間がほとんど見られず、また粒子自体のサイズが大きく均一になるため、塗り壁材として使用した場合、表面硬度が固く、コテによる艶が出やすい性質を持ちます。
したがって、イタリアンスタッコや“磨き”などでは、生石灰クリームのほうが光りやすいということになります。強度に関しては、湿式消化で作られる生石灰クリームのほうが、乾式消化の場合より、10倍ほど高いのが特徴です。

4. もうひとつのしっくいは
貝殻から出来る

しっくいの主原料に使われるものは、
石灰岩のほかに貝灰があります。
石灰岩より古くから使われ、牡蠣、ハマグリ、
アサリ、赤貝などを原料とします。
貝殻は手に入れやすい素材で焼成温度が
石灰岩より低い800度ほどですが、
比重が軽く強度が低くなっています。
使う海藻糊も少なく済み、小ヒビが生じにくいので、
石灰に混ぜて使われることもありますが、
石灰石による石灰のほうが安価で
手に入ることと焼く時の匂いが嫌われて、
今ではわずかしか生産されていません。

  • 原料の赤貝

  • できあがった
    貝灰

貝殻

焼成

消化

貝灰

石灰も貝灰も作り出される原理は同じなのです

5. 石灰は生活に
欠かせない素材です

しっくいの主原料である石灰は
建築材という役割以外に
私たちの身の回りでたくさん役立っています。
いくつかご紹介しましょう。

不純物を除去します

ごみ焼却場などから発生する有害な排ガスを
除去します。

石灰と鉄鉱石中の不純物が結び付いて、
純度の高い鉄が得られます。

土を固めます

軟弱地盤などに石灰を混合すると地盤が強固に
なります。

消毒効果があります

水害後の防疫や口蹄疫や鳥インフルエンザなどの
消毒剤として使われます。

肥料として農業を支えています

作物に不可欠なカルシウムやマグネシウムといった
ミネラル源として作用し、
酸性雨に侵された土壌の酸度を矯正します。

※スクロールすると画像をご覧いただけます。

それ以外にもまだまだたくさん、
石灰という素材は
私たちの生活を支える
20を超える分野
において
役立っている素材なのです。
それほど、私たちは石灰と身近な関係と言えるのです。

次は「しっくいの効果」
についてご紹介します