日本のしっくい

石灰が中国からやってきて
およそ1500年。
そこには日本独自の
進化がありました。

Sikkui in JAPAN

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世界的に見ると5,000年も昔からしっくい
が使われていたことがわかりました。
では、日本にはしっくいはいつ頃、
どのようにして伝わってきたのでしょう?
そしてしっくい壁は
日本ではどのように使われ、
どのように役立ってきたのでしょうか?

しっくいはどのように
日本にやってきたの?

石灰を使う技術は、
シルクロードを通って
中国に伝わったといわれています。
石灰を使った古い建造物に
万里の長城があります。

The Great Wallof China

万里の長城中国◎紀元前214年ごろ〜

万里の長城は長い期間をかけて完成したもので、
当初は土を固めて土壁を築く、
版築(はんちく)工法でつくられましたが、
石灰が中国へ伝わったことで、
日干しレンガを石灰で積むやり方に
変わっていったといわれています。

中国に伝わったことで、
石灰の使われ方が変化をしていきました。
石灰の持つ強アルカリ性による、
殺菌効果や消毒効果があることが知られていき、
室内にもしっくいが塗られるようになりました。

さらに壁に塗りやすくするため、
糊(のり)として、お米や膠(にかわ)を使うことや、
スサ(ひび割れを防ぐつなぎとする材料)として
動物の毛を混ぜることなどが考えられました。
ここではじめて、石灰、ノリ、スサが入った

今の日本のしっくいの原型が
出来上がったと
いわれています。

しっくいの技術が日本へ

西暦538年ごろ、中国、朝鮮半島を経
て日本に仏教が伝わり、
仏教伝来とともに日本各地に
お寺をつくることとなりました。
しっくいを製造、施工する技術も日本に伝わり、
お寺はしっくいの白壁で
つくられていくことになります。
仏教伝来により、
日本にしっくいが根付いていったのです。

日本における
しっくいの進化

こうして日本に伝わったしっくい。
日本で独自の進化をしてきます。
日本ではしっくいを作るために
高価な米ノリではなく、
安価な海藻ノリを使うことが
考え出されました。
海に囲まれた日本ならではの発想です。
海藻ノリの使用で安価になり、
土壁よりも丈夫だということが知られ、
日本でしっくいが広まっていきました。

室町時代

姫路城◎1346年〜

戦火から建物・人を守るためのしっくいの防火性

戦国時代ではしっくいの
優れた防火性、耐久性が認められて
城郭建築に多く使用されました。

その土地の風土に合わせた
しっくいも
作られていきました

各地の
しっくい

土佐しっくい

台風がよく通る地域で考えられた
雨風に強いしっくいのひとつ。
海藻ノリを使わずにつくるので
強度が高いしっくいです。

沖縄しっくい(ムーチー)

屋根しっくいとして使われている、
土佐しっくいと同じく雨風に強いしっくいです。

時代における
しっくいの変遷

江戸時代のしっくい

江戸時代には商人の間に広まります。
このころは火災が多く、
彼らの財産を守るため、
しっくいで塗りこめた防火性にすぐれる
土蔵づくりが推奨されました。
しっくいが火災から財産を
守ってくれたともいえます。

特に土蔵の扉は火が入らないように
いくつも段もつくり、
扉を閉めた時に隙間ができないよう、
高い技術と時間をかけて仕上げ、
このつくりかたが耐火性能を向上させました。

なまこ壁

建物の耐久性、耐水性を上げるため、
壁面に平瓦を貼り、
目地部分にしっくいを盛り上げて塗った技法。
目地の盛り上がった部分が
海の海鼠(なまこ)のようだったため、
この名前が付いたと言われている。
瓦を斜め45度に張る四半張りが有名だが、
馬張り、芋張りなどもある。

四半張り

芋張り・馬張り

七宝模様のなまこ壁

目地の部分を工夫することで
その他七宝模様など様々な模様がある。

特殊ななまこ壁 鳥取琴浦町なまこ壁の特徴

この地域のなまこ壁は平瓦を張らず、
黒漆喰を塗り、その上になまこの模様を付けた。
純粋ななまこ壁ではないが、
目地の部分の模様を自由にすることが出来、
意匠的に発達したなまこ壁が誕生していった。

明治時代のしっくい

明治時代に入ると、
その白さと相性のいい
洋風建築にも
しっくいが取り入れられていきます。
当時の職人たちは写真などを参考に、
壁だけでなくレリーフや擬石仕上げなど
装飾的なものにも
取り組むようになりました。
最近復元された東京駅の天井も
しっくいによるものです。

こてえ鏝絵

伊豆松崎町

江戸から明治に活躍した鏝絵名人の入江長八が生まれた町。
長八美術館では多くの鏝絵が飾られている。
伊豆松崎町 観光WEBサイト
https://izumatsuzakinet.com/seacucumber
wall/

富山県射水市

地域名から小杉左官という名前もあり、鏝絵の名人 竹中源造の作品も数多く残っている。
鏝絵のまち小杉 WEBサイト https://kotee.net/kotee/

大分県安心院町

この地域では明治の初めころから鏝絵を描かれるようになり、あちらこちらの民家の壁に
鏝絵を見ることができ、数は80か所以上を超える。
安心院鏝絵の紹介 WEBサイト
https://www.city.usa.oita.jp/site/kanko-guide/62.html

鳥取県琴浦町

琴浦町の光地区は集落の約半分の建物に鏝絵が施されています。
その地域名から光の鏝絵とも称されています。
琴浦町 観光WEBサイト
http://www.kotoura-kankou.com/mitu_kotee.html

その他様々な地域でも
現代に伝える鏝絵が残されています。

昭和から平成〜そして令和へと

昭和、戦後の高度経済成長とともに
住宅が大量生産されるようになると、
作業が早くて価格の安い
ビニールクロスをはじめとする石油化学製品の
建材が一気に社会に普及しました。
しかしそれらの代償として、
シックハウス、シックスクールと言った
化学物質過過敏症という
社会問題を引き起こしました。
平成に入り、住宅建材においてもVOC対策が進み、
F☆☆☆☆に代表される制度も構築されましたが、
これは、低ホルムアルデヒドということで
VOCゼロというわけではありません。

食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息など、
今なお毎年アレルギー患者は増え続け、
一向に減少傾向を見せず、特に小さな子供たちの
アレルギー患者が増えているようです。
今の科学では解明できていない何らかの
原因があるのかもしれませんね?

我が国におけるアレルギー疾患の現状等
(厚生労働省 健康局 資料) https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000111693.pdf

お部屋を見渡してみてください。
壁、天井、床で構成された
空間に私たちは過ごしています。
その大きな面積を占める壁や天井に
アレルギーリスクゼロの建材「しっくい」が塗られることで、
「しっくいの効果」でご紹介したように
室内空気環境は圧倒的に良くなります。
食品では無添加、
無農薬にこだわる方が近年増えています。
住宅においても、天然素材で機能性の高いしっくいが、
その手作り感や温かみと共に再評価され増えてきています。
毎日、大切なご家族が一番長く過ごす場所である住宅にも
同じようなこだわりがあっても良いと思いませんか?

令和の時代は「現代しっくい」

しっくいというと、
「お城のツルツルの白い壁」というイメージを
持たれる方も
いらっしゃるかと思いますが、今は違います。

これからの時代のおすすめはこれ!
「現代しっくい」です。
現代しっくいとは従来のしっくいの機能はそのままに、
現代の住宅や店舗のデザインにアレンジしたしっくい
です。
今までもこのような商品はありましたが、
「しっくい」は仕上げも様々で、お城の白いツルツルの壁も、
ヨーロッパなどのテクスチャのある色のついた壁も
「しっくい」と一言で扱われていたものを、
ここではわかりやすいように、区別化しました。

現代しっくいの特徴

1

従来のしっくいの機能はそのままで、
和風住宅のみならず、
洋風建築にも合うテクスチャ

2

石膏ボードの上に
塗れるのはもちろんのこと、
ビニルクロス上にも施工可能なので、
リフォームにもぴったり!

3

従来の日本の伝統漆喰壁に比べて
お値段もお安く、
工期も短くすみます。

次は「しっくいがいっぱい」
についてご紹介します